くろまめマスターのブログ

あなた自身が名医です。自分の体の声を聞いてみましょう。

高血圧で治療中の54歳女性

こんにちは、くろまめマスターと申します。

病院には日々さまざまな患者さんが来られます。

病気に対する考え方は人それぞれであり、こちらが勉強させてもらうことも多々あります。

その中で個人的に感銘を受けた患者さんとのエピソードをお話し、「健康に不安を感じる人生から、安心して最後を迎えられる人生」へと変化する助けになれば幸いです。

 

今回は高血圧で治療中の54歳女性です。

とある血圧を下げる薬の副作用で肝機能の障害がみられたため、当方へ紹介となった方です。

薬の変更で肝機能の障害は治りましたが、血圧を下げる薬ではよく使用される「カルシウムブロッカー」というタイプの薬が肝機能障害の原因であったため、このタイプの薬以外を使って血圧の治療を行う必要がありました。

 

何とか3種類の薬を使うことで、少し高めではありますが血圧は安定してきました。

 

しかしそんな中、患者さんの実のお姉さんが、高血圧が原因となった脳出血を発症したことを知らされました。

 

お姉さんも高血圧はずっと以前から指摘されていて、治療がなかなか上手くいっていなかったということでした。

 

この患者さんももう少し血圧を下げて、脳出血のリスクを抑える必要があるけど、何か方法はないか…と考えておりました。

 

 

そんなある日、受診した時の血圧が初めて正常範囲になっていました。

何か生活習慣を変えたのですか?とお聞きすると、意外な返事が返ってきました。

 

「夫はもともと腎臓が悪かったのですが、いよいよ透析をすることになったんです。

将来的には腎臓移植ができれば…と担当の先生がおっしゃったのですが、夫の兄弟はそれぞれ家庭もあるので、腎臓を提供することにためらっている様子です。

そうなれば私の腎臓を提供するのですが…。それで夫の腎臓のために塩分を減らした食事を一緒に食べていたら、血圧が下がってきました。」

 

いかがでしょうか。

日本人はもともと、食塩の影響で血圧が上がりやすいことが知られています。

そのため食事の塩分を減らすことは、立派な高血圧の治療となるのです。

 

ただし塩分を控えてください、と患者さんに言うだけでは、なかなか実行していただけないことが多いです。

そして血圧の薬を飲むことでなんとなく血圧が落ち着き、塩分制限のことは忘れ去られてしまいます。

とくに生活習慣病の薬は、病気にフタをするだけで、治すわけではないのです…

 

ある著書には、「人間は自分の経験しない悩みや痛み、苦しみはなかなか分からない。実際に苦しんでいる人、悩んでいる人に触れれば、自分自身もそういう立場になることがあると見直すことができる」と書かれていました。

 

この患者さんも、だんなさんの病気が進行することで、ご自身の健康状態を見つめるきっかけになったとのことでした。

 

次回受診されるときには、高血圧の薬を減らしていきたいと考えています。

生活習慣を見直すことは、病気の治療薬に勝る効果があること、また病気を予防する力があることを改めて感じた次第です。

 

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。