こんにちは、くろまめマスターと申します。
病院には日々さまざまな患者さんが来られます。
病気に対する考え方は人それぞれであり、こちらが勉強させてもらうことも多々あります。
その中で個人的に感銘を受けた患者さんとのエピソードをお話し、「健康に不安を感じる人生から、安心して最後を迎えられる人生」へと変化する助けになれば幸いです。
今回は自己免疫性肝炎を発症した72歳女性の話です。
この方は4年前に肝機能障害で紹介となりました。
健診は受けておられず、今まで血液検査をする機会がありませんでしたので、いつ頃から肝臓が悪かったかは定かではありません。
1か月前から食欲が低下していたとのことでありました。
ただ、ご紹介いただいたときにはすでに肝臓の働きが著しく低下しており、肝移植をしないと助からない可能性もある状態でした。
直ちに入院とし、ステロイドの大量投与と、一時的に肝性脳症という意識障害も認めたため血漿交換という集中治療を行うことで一命をとりとめました。
6週間くらい入院し、元気に退院されました。
通院しながらステロイドの薬を減量していきましたが、半年くらいしてから体重が増加してきました。
ステロイドの副作用として、食欲が増すことと脂肪がつきやすくなることがあります。
この患者さんも副作用により体重が増加しだしました。
退院時より6kgくらい増えて、動くとぜーぜー苦しいものの、スナック菓子がやめられないとお話されておりました。
次第に落ち着いていた肝機能の数値が徐々に高くなっていき、体重の増加によって肝臓に蓄積した脂肪が影響していると思われました。
そして、糖尿病の治療も必要になってしまいました。
ステロイドは最小量としつつ、代わりとなる治療薬も導入することで、なるべくステロイドの副作用を減らしつつ、糖尿病の治療も開始しました。
しかし脂肪肝が原因と思われる肝機能障害は改善しませんでした。
通院されるたびに、「食べ過ぎてしまうー」とお話されて2年くらいたちましたが、最近肝臓の数値が良くなってきました。
理由を聞いたところ、娘さんが休みのたびに外へ連れ出され、一緒に温泉に行ったり買い物をして強制的に体を動かされているとのことでした。
運動することで脂肪肝が改善しつつあるのです。
太ってしまうことに対して、特効薬はありません。
西洋医学は万能ではありません。
しかしこの患者さんは、西洋医学では何ともならない状況を、娘さんの協力で乗り越えてくれました。
当の本人は、しんどいから止めたいといっていますが…
脂肪肝のように、治療薬がなくても運動で改善する病気もあります。
また運動することで、生活習慣病を遠ざけることもできます。
これからは通院のたびに、娘さんの親孝行が薬よりも効いてますよー、と毎回伝えて励ましていきたいと思います。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。