専門医が、胃カメラを体験してみた。

「胃、胃が痛い…」

昨年の冬、突然の胃の痛みにおそわれました。

胃薬で徐々に落ち着くも、痛みは2-3日続いたため、10年ぶりに胃カメラ検査を受けてみようと決心しました。

 

自分の職場で胃カメラの予約をとり、いざ当日。

検査後も仕事ができるように、「鎮静剤はなくても大丈夫です」と予約の時は強気に頼んでいたものの、いざベッドに横になると、緊張はピークに。

 

それでも自分の緊張が検査の担当医に伝わらないよう、平気なふりをするものの、血圧を測ると、なんと190まで上昇しているではありませんか。

 

検査医や周りの看護師さんは若干ひいています。

緊張しすぎです。

 

気を取り直して腕で血圧を測ってもらい(最初は足で測定してました)、それでも150くらいで高いですが、検査をしていただきました。

 

ため息をつくように息を吐いて、肩の力を抜く。

 

普段自分が患者さんに声をかけている通りに、自分でも実践。

のどに“ごりっ”という感じあり。

喉の奥まで胃カメラがきたことを感じ、ごくっと飲み込みました。

「痛ってー」

 

心の中で叫びつつ、のどに感じる痛みが治まるのを待ちましたが、全然治まりません。

 

「あっ、これずっと続くやつね」

 

全てを受け入れるしかありません。

痛みに耐えながら、なるべく全身脱力して検査が終わるのを待ちました。

 

ただ、痛みはのどだけで、お腹は何ともありません。

実際は胃カメラを胃の奥から十二指腸まで押し込んでいるはずですが、そんなことは一切感じませんでした。

ときどき「オエッ」ときますが、それ自体は意外と苦しくなかったです。

のどの痛みの方がつらいですが、のどの痛みも徐々に慣れてきました。

 

「ん?なんか長くない?」

 

ちらっと検査医の方をみると、画面を食い入るように見ています。

 

「やばい、なんか見つかったやろか…」

そう思って画面の方を見てみると、全然きれいな胃です。

 

そうなんです。

内視鏡医あるあるですが、知ってる人を胃カメラする時になると、普段は気にならないところも、なぜか気になってしまうのです。(結果、別に何もないのですが…)

 

「もういいですって…」

約8分くらい経過したところで、再びのどの痛みを強く感じるようになってきました。

 

「あぁ…、この胃カメラ引っこ抜いて楽になりたい」

そんな願望もでてきて、右手がカメラをつかまないように必死で我慢しました。

 

苦しい表情をみかねて、看護師さんが背中をさすってくれました。

すると不思議なことに、苦しみが和らぎました。

 

研修医の時に外科の先生から、「回診の時は必ず患者さんのお腹に手を当てなさい」と教えられたことを思い出しました。

“手当て”とはよく言ったもので、手で触れられるだけで安心できるものなんですね。

初診わすれるべからず。

 

そんなことを考えていると、急にのどが楽になりました。

検査が終わり、胃カメラが抜かれていました。

のどの感覚だけでは、胃カメラが進んでいるのか、抜いてきているのか分からないもんですね。

検査時間はだいたい12分くらいでした。(通常は5-6分ですが…内視鏡あるあるです)

 

気づけば顔面よだれまみれで上着もびしょびしょでしたが、無事に終わりました。

結果も問題なく、一安心でした。

 

以上の経験から、これから胃カメラを受けるにあたってのポイントをいくつかお話させていただきます。

 

 ①のどの麻酔は、なるべくのどの一番奥へためておく。

のどに指を突っ込むとオエっとなり苦しいですが、胃カメラでも当然同じことが起きます。そのためのどにスプレー、またはゼリー状の液体で麻酔しておきます。その時のポイントは、麻酔の液体をなるべくのどの奥に浸透させることです。少し上を向いて液体がのどの奥に届くようにしましょう。

 

 ②必ず息はできるから、慌てない。

胃カメラが喉に押し込まれると、一瞬息ができなくなる感覚を感じる方がいます。息ができないとパニックになりますが、胃カメラが入っていても呼吸は可能です。慌てず肩の力を抜いて口呼吸しておきましょう。

 

 ③つばは飲み込まず、たまってきても気にせず口の外へ流す。

お上品な方は唾液を外に出すことに抵抗があるかもしれませんが、気にせず口から外へ流しだしてください。検査中につばを飲み込むと、むせ込んで余計に苦しくなります。

 

ちなみに、鎮静剤を使えば、ボーっと眠たくなるので、①や②の苦しみは軽減されます。

 

また胃の動きを抑えて観察しやすくするために使われる注射薬には、唾液の分泌を抑える効果もあるので、③を防ぐ効果もあります。

(自分は今回その注射薬を使わなかったので、唾液が出まくりました。その注射薬には一時的に目がチカチカする影響が出る場合があるので、鎮静剤と同じく運転や仕事を控えることが望ましいです。)

 

そして、鼻から入れる胃カメラを使えば、カメラが細いためめっちゃ楽です。つばも飲み込めますし、会話もできます。

10年前は研修医の実験台になって胃カメラを飲みましたが、鼻用の細いカメラを口から飲んだので、全然楽ちんでした。

 

最近は鼻用の胃カメラの性能は格段に上がっているので、細くても解像度が損なわれず、とってもきれいに観察できます。

鼻用の胃カメラで検査してもらうと楽です。

 

ただし鼻用の胃カメラを置いていない病院もあります。

そういった病院では(ウチの病院もそうですが)、口からの検査になります。

その時は鎮静剤を使うと苦痛が軽減されます。

鎮静剤の影響で検査後もボーっとすることがあるため、検査の帰りは運転ができません。

誰かに迎えに来てもらうか、公共交通機関を利用しましょう。

 

健診などで胃カメラを受けられる方は、これを参考にイメトレしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。